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文庫売りに必要な道具について

3月も過ぎ去りぬ。セレクト文庫のある下館に越してきてから、早いもので一年が経ちました。 かわらない一冊、なつかしい一冊、きえてほしくない一冊を、セレクト文庫。あくまでそれらの文庫本に絞り込んでやっていこうと決めるまで、1年近くかかりました。 Netflixで是枝裕和監督の「阿修羅のごとく」が始まるとすぐに、外国人のお客様から原作の文庫本のご注文をいただきました。エアメールにて海外に発送しました。なんだかうれしい思いです。書籍離れの現代と言われるいまこそ、渋い文庫本が売れるたびに、気持ちがどこか晴れ上がります。 効率よくたくさん売れるものを売る「転売ヤー」ではなく、あくまで文庫本売りでいたいのは、世界のどこかに、かわらない一冊、なつかしい一冊、きえてほしくない一冊を文庫本というメディア形式で求める人がいる、その人に本を届ける仕事にこだわりたいからです。 冷凍イカをのどに詰まらせて死んだ車谷長吉は、多くの文学作品を文庫本で蒐めていました。 私は二十五歳の秋、会社員を辞した。その時点での第一志望は、非僧非俗の世捨人として生きていくことだった。修行僧になれば、托鉢なり何なりして飯が喰うて行けるのであるが、私の場合はあくまで非僧非俗が願いだったから、下宿に閉じ籠もって小説原稿を書く以外に途がなく、併しそれも数年で下宿代が払えない身となり、つまり生活が破綻して、以後は関西へ帰って、旅館の下足番、料理場の下働きとして九年を過ごした。丸坊主、下駄履き、風呂敷荷物一つ、無一物で、タコ部屋からタコ部屋を転々とする、漂流の九年間だった。(「もう人間ではいたくないな」―『阿呆者』所収) 車谷長吉は大学を出て広告代理店に入社したものの、ニューヨーク転勤をことわり退社、「漂流物。」となりました。文庫本は、風呂敷荷物一つ、無一物で、タコ部屋からタコ部屋を転々とする「漂流物。」にも届くのです。私もこの前、お客様の泊まるホテルの部屋あてに文庫本を郵送でお届けしました。 さて、文庫本売りとなって私は、ふだんどんな道具を使っているのか、今日はそのお話をしたいと思います。 Google Pixel 6a/ Google Photo デジタル・トランスフォーメーションの叫ばれるご時世、まず必要なのは、Google製のスマホとアプリです。Googleのスマホでないと、撮影した文庫本の書影の自動修正ができません...