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年末年始の営業について

 下館の冬は思ったより寒い気がします。コメリのヒーター付きインナーベストが活躍してくれています。

セレクト文庫年末年始の営業は、年内は12月27日(金)17-20時、翌28日(土)11-17時までとなります。

年始は、1月3日(金)と4日(土)はお休みで、10日(金)17-20時、11日(土)11-17時からの営業となります。

2024年は大洗町から筑西市へと身を移してあっという間に過ぎ去ろうとしています。今年はなんと言っても、古本屋を始めたられたことがうれしいできことでした。

セレクト文庫もようやくスタイルのようなものが見え始めて、来年は定着の年となるようさらに努力していきたいと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。


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セレクト文庫のSTP

下館の田町交差点に「セレクト文庫」をひらいて、間もなく1年です。わたくしが金曜日と土曜日に営む、文庫本と茶磁器を扱う小さな店です。この1年、試行錯誤を繰り返しながら、少しずつお店の「かたち」が見えてきました。 以前はマーケターだった経験から、古本屋を始める際も自然と「STP」を意識しました。「STP」とはマーケティング用語で、S「セグメンテーション」、T「ターゲティング」、P「ポジショニング」を指します。平たく言えば、「どんな絞り込みで、どんなお客様に、どんな独自性で古本をお届けするか」を考えることです。 「セレクト文庫」では、Sとして「古文庫本だけを扱う」と決め、一般書や全集、コミック、雑誌、文庫に近い新書さえ扱いません。 次にTは、「本棚よりも本そのものを愛し、見た目の美しさより内容を大切にする(きだみのる)」「読書子」の方々。最近のけち臭い新刊書籍に冷めていて、流行や話題性でなく、じっくり本に向き合いたいと願う方々です。 そしてPは、「東京の神田神保町のような大きな古書店街でも珍しい」と感じていただけるような、少し変わった、でもどこか惹かれる「偏り」の創出。ユニークネスとは誤解を恐れずに言えば、「欠落」なのです。 こうした考えをもとに、「セレクト文庫」のスタイルが固まってきました。 【セレクト文庫のスタイル】 ① かわらない一冊、なつかしい一冊、ほろびゆく一冊を、セレクト文庫 時代が変わっても色あせない価値を持つ本、手に取ると記憶がよみがえる本、そして絶滅危惧種のようにこの世界からほろびゆく本。そんな本たちを心を込めて選び、磨き上げてお届けします。 ② 文庫本専門の古書店です 文庫本に集中することで、より深く丁寧に本と向き合えると考えています。ただ、お客様から買い取らせていただく際には、文庫以外のすべての印刷物を扱います。そうした本もモットーに合えば「日本の古本屋」というオンラインサイトで販売します。幸いキャッシュやスペースにいまのところ制約はないため、時間をかけてもできる限り多くの本に、次の読み手を見つけたいのです。 ③ Amazonとは当たらず触らず 価格は参考にしますが、セレクト文庫はAmazonに出店しません。Amazonが想像もつかない方法で古本を届けたいからです。お店の販売価格は、基本的にアマゾンの中古本「可(読める状態)」ランクの最安値に合わせて...

はんこ屋さんから、ぶんこ屋さんへ

はじめまして。セレクト文庫店主です。 ご縁あって、この春に 筑波山を越えて、 大洗から下館にやってきました。ネットで賃貸物件を探すなかで、これだ! と思うものに出会いました。それがこの店の地である筑西市甲、田町の小さな店舗つきの戸建住宅です。 ここは数年前まで、はんこ屋さんだったと、地元密着の不動産会社の社長に伺いました。 2メートル×3メートルのこの狭小空間を、うまく活用できないか? 自分たちの好きなことを活かして、小さな空間だからこそできることはなんだろう? 結果生まれたのが、 古文庫本と茶器の小さな店・セレクト文庫 です。 はんこ屋さんから、ぶんこ屋さんへ。 ここは、言霊のいる場所だと思いました。 はんこもぶんこも、どちらも文字を写すものです。 はんこもぶんこも、文字で人と人の信頼をながくつなぐものです。 そうだ。小さな店だからこそ、文庫本だけの古本と、磁器を中心とした小さな茶器の店をやろう。文庫本も茶器も、 どちらもスマホと同じ、片手で ハンドリングできる類の文明のコミュニケーション・ツールです。小さな利器を並べるのなら、小さな店こそがぴたりと来ます。 Selected, Small, Slow。 この3つのSによって、いま文庫本は、その意義を再発見されつつあると思っています。 文庫本とは、市場によって、すでに選ばれたものです。よく売れた ハードカバーの新刊書籍だけが、選ばれて文庫本になります。この本は、広く遍く読まれてほしいという望みの賜物なのです。 また、文庫本はとても小さいので、持ち歩きに便利です。スマホと一緒に持ち歩けます。加えて値段もハードカバーよりも安い。 どこでも手軽に手に入れていつでも読める、いわばモバイルコンテンツとしての文庫本は、良い本を人々にどんどん普及させるための、日本の優れたメディアフォーマットです。 さらに文庫本は、綴じられた 紙に刷られた文字列です。 スマホの、 解像度が粗く、すぐになにかとリンクされてしまうテキストと比べて、その 没入感が、半端ないのです。 SNSによるアテンション・エコノミー全盛の饒舌の時代だからこそ、 文庫本を片手に、ゆっくりと茶を飲むという、真逆の、黙して安らぐ、あえてつながらない、スローな独り時間が大切ではないかと思うのです。 こういった文庫本の時間と、私の妻が笠間の工房で制作した茶器を新結合した、 S...

文庫売りに必要な道具について

3月も過ぎ去りぬ。セレクト文庫のある下館に越してきてから、早いもので一年が経ちました。 かわらない一冊、なつかしい一冊、きえてほしくない一冊を、セレクト文庫。あくまでそれらの文庫本に絞り込んでやっていこうと決めるまで、1年近くかかりました。 Netflixで是枝裕和監督の「阿修羅のごとく」が始まるとすぐに、外国人のお客様から原作の文庫本のご注文をいただきました。エアメールにて海外に発送しました。なんだかうれしい思いです。書籍離れの現代と言われるいまこそ、渋い文庫本が売れるたびに、気持ちがどこか晴れ上がります。 効率よくたくさん売れるものを売る「転売ヤー」ではなく、あくまで文庫本売りでいたいのは、世界のどこかに、かわらない一冊、なつかしい一冊、きえてほしくない一冊を文庫本というメディア形式で求める人がいる、その人に本を届ける仕事にこだわりたいからです。 冷凍イカをのどに詰まらせて死んだ車谷長吉は、多くの文学作品を文庫本で蒐めていました。 私は二十五歳の秋、会社員を辞した。その時点での第一志望は、非僧非俗の世捨人として生きていくことだった。修行僧になれば、托鉢なり何なりして飯が喰うて行けるのであるが、私の場合はあくまで非僧非俗が願いだったから、下宿に閉じ籠もって小説原稿を書く以外に途がなく、併しそれも数年で下宿代が払えない身となり、つまり生活が破綻して、以後は関西へ帰って、旅館の下足番、料理場の下働きとして九年を過ごした。丸坊主、下駄履き、風呂敷荷物一つ、無一物で、タコ部屋からタコ部屋を転々とする、漂流の九年間だった。(「もう人間ではいたくないな」―『阿呆者』所収) 車谷長吉は大学を出て広告代理店に入社したものの、ニューヨーク転勤をことわり退社、「漂流物。」となりました。文庫本は、風呂敷荷物一つ、無一物で、タコ部屋からタコ部屋を転々とする「漂流物。」にも届くのです。私もこの前、お客様の泊まるホテルの部屋あてに文庫本を郵送でお届けしました。 さて、文庫本売りとなって私は、ふだんどんな道具を使っているのか、今日はそのお話をしたいと思います。 Google Pixel 6a/ Google Photo デジタル・トランスフォーメーションの叫ばれるご時世、まず必要なのは、Google製のスマホとアプリです。Googleのスマホでないと、撮影した文庫本の書影の自動修正ができません...